幼少期
家にアップライトピアノはあったが、家庭は音楽的環境というわけではなく、何事も一切強要されることなく自由に育てられた。幼稚園で友達がピアノを弾いているのを見て、私も習いたいと強く願望、近くの大手音楽教室に通うこととなる。
小学生時代
父の転勤の度にピアノの先生も変わり、あまり印象に残るレッスンや先生はいなかったが、ピアノの虜となった私は自由気ままに弾いていた。それぞれの先生のすすめでコンクールにも参加し数回受賞もしたが格段嬉しいわけでもなく、それよりも一人でピアノを弾き音楽に浸っているのが好きだった。性格は無口で消極的だったが好奇心旺盛で遊びも勉強も一生懸命、友人にも恵まれていたと思う。
中学高校時代
中高一貫の進学校に入学、クラスメイトの素晴らしさに圧倒された。
勉強しようと思ったのはこの頃が初めてだったが、音楽への好奇心は持ち続け、オーケストラのクラブでフルートを夢中で練習するようになる。他の管楽器や弦楽器にも興味を持ち、後輩の指導、指揮や編曲も自由にやっていた。
その間もピアノは続けていたが練習時間は少なかったと思う。
ピアノの先生のすすめでソルフェージュのクラスに通ったものの、部活最優先で半分ぐらいしかレッスンに行かなかった。
大学受験準備期にはピアノで音大進学と思われているのが嫌で、勉強に力を注ぎトップクラスの成績をとる。
しかし、高校の先生からもピアノの先生からも音楽大学受験を強くすすめられ、高校3年の夏に音大受験を決意、入学できた暁にはピアノに力を注ごうと決心する。
音楽大学生活
音大に入学すると周りはピアノ一筋に生きてきた人ばかりで、遅れを感じた私は練習に打ち込む。
その反面毎晩のようにありとあらゆるコンサートを聴きに行き、寮母には呆れられるほど。
おおらかな性格から先輩や同級生の伴奏を多く手がけるようになる。
卒業後
卒業後も学び続け、国内外の講習やレッスンを受講、オーディションやコンクールでも賞をいただく。
ご縁に恵まれ、声楽・器楽・合唱の伴奏をしたり、紹介された生徒を教えたりして、学生時代の延長のような音楽三昧の生活を続ける。
エレクトーンとの出会い
伴奏をしていた声楽研究所でベルリン国立歌劇場専属歌手の先生からエレクトーンでのオペラ伴奏を強くすすめられ、いきなりコンサートでエレクトーンを弾くことになる。その後もエレクトーンに夢中になり、その取り組みと成果から(株)ヤマハ重役の目にとまってエレクトーン・プレイヤーとして委託契約を結ぶ。
エレクトーン歴３年目で音大にて電子オルガン講師となる。当初は自分より経験の長い学生にドキドキだったが、関東近郊の4つの音楽大学で講師として、ピアノと電子オルガンを指導、ソルフェージュやアンサンブルでも後進の育成に力を注ぐ。
生徒から多くの人材を輩出、音楽大学講師や音楽教室講師をはじめ、演奏家、また地域の芸術振興に貢献する者など後を経たない。
演奏活動
PTNA正会員として、コンクールの旧コンチェルト部門では、立ち上げ当初から最後まで公式伴奏者として延べ400人以上の伴奏を担当する。
また、自主企画として毎年コンチェルト・コンサートを今までに18回企画開催、延べ80人以上のソリストが参加している。
オペラにも造詣が深く、50本以上のオペラの全曲伴奏（二期会、藤原歌劇団、日本オペラ振興会、東京オペレッタ協会、首都オペラ、他、地方市民オペラ団体）、「アマラント・オペラ」主宰。その他オペラアリアや歌曲の伴奏、器楽や合唱の伴奏以外にも、室内楽をライフワークとしている。
ピアノ連弾や２台ピアノ、エレクトーンの生楽器とのアンサンブルでも活躍。多い時で年間50本以上のコンサート出演。
国内はもとより、オーストリア、フランス、オランダ、ハンガリー、イタリア、アメリカ、トルコ、ベトナム、中国、台湾、韓国でも公演を行う。
大事故と気づき
2011年イタリアでの演奏旅行演奏の際に交通事故に遭い、下半身7箇所、肋骨2本骨折、脊椎打撲で現地にて3ヶ月入院。
全く身体を動かせない状態だったからこそ、健全な肉体と精神のありがたさを感じ、現地の人々の細やかな心遣いとその温かさに心から感動し、今までにないほどの感謝の念を抱いた。
この先演奏の仕事に復帰できるかという一抹の不安はあったものの、美味しいイタリアの病院食、老若男女のカラフルでお洒落なセンス、ユーモアな溢れた会話、緑色の夏から黄色の秋への移ろい、全てが心に響き、自分軸のブレない生き方こそ幸せだと気づく。
帰国後の療養含め半年間の休業。その間、初めて自分と音楽についてじっくり考える時間を持てたことで、音楽がいかにかけがえのないものであるか、音楽がいかに素晴らしいものであるかを改めて気付き、自分にできることは音楽しかないと確信する。
指導歴
音楽大学講師としてピアノと電子オルガン、ソルフェージュ、アンサンブルを約35年指導。
一時期准教授となるが、自分の学びと自由な時間の確保のために常勤を辞め、非常勤講師として、高崎芸術短期大学、東邦学園大学、洗足学園大学、昭和音楽大学を歴任。自宅音楽教室では3歳から大人までを指導し、その数1,000人以上となる。
今まで指導した生徒さんの進学先：武蔵野音楽大学、東京音楽大学、昭和音楽大学、東京大学大学院、早稲田大学、慶應大学、明治学院大学、女子美術大学、青山学院大学、湘南高校、麻布中学、開成中学、桐蔭学園、双葉学園など。
大阪音大講師、昭和音大講師、大手音楽教室講師など、講師として活躍する者多数。
その他の音楽活動
PTNA正会員、日本音楽表現学会元理事現正会員、日本キーボード音楽学会元理事現正会員、ポルトゥス音楽文化研究会元理事現正会員、他、国際ピアノデュオ協会、日本ロッシーニ協会、日本ヴェルディ協会、日本シャミナード協会会員。
楽譜「はじめてのコンチェルト」シリーズをATN出版より４冊刊行。エレクトーンによる現代曲CD３枚をHCOミュージックよりリリース。